東京新聞 1月18日
高齢者虐待防止法案
市町村に救済義務
与党通常国会提出へ




 自民、公明両党は十七日、増加傾向にある高齢者への暴力、介護放棄などの虐待を未然に防ぐための「高齢者虐待防止法案」を二十一日招集の通常国会に提出する方針を固めた。同問題について、昨年から検討してきた公明党の高齢者虐待防止対策ワーキングチーム(古屋範子座長)がまとめた法案要綱を軸に、与党内で細部を調整する。民主党にも賛同を呼び掛け、通常国会での成立を目指す。

 法案要綱では、高齢者虐待を(1)身体に外傷が生じ、または生じる恐れのある暴行(2)看護の放棄(3)著しい心理的外傷を与える行為(4)性的嫌がらせ(5)財産を侵害する行為−と定義。
 虐待が行われているという情報を得た市町村に対しては、高齢者や家族への助言・指導のほか、高齢者の老人ホーム入所、判断能力を欠く高齢者を保護するための「成年後見開始」信販の申し立てなどの措置を行うよう義務付けている。
 ホームヘルパーらに対しては、虐待の早期発見と、市町村への速やかな通告の努力義務を明記。虐待を受けた高齢者は市町村に申告できると規定した。
 また、老人ホームなどの介護、福祉施設の関係者には、施設内での虐待を未然に防ぐため、苦情処理体制の整備を求めた。
 介護保険制度の導入後、ホームヘルパーらが在宅の高齢者を訪ねる機会が増え、これまで明るみに出ていなかった高齢者の虐待問題が相次いで発覚し、具体的な法整備が急がれていた。
 厚生労働省は二○○五年度から、医療機関や警察、自治会、弁護士会などの連携による虐待防止の地域ネットワークづくりを進める方針を打ち出している。

■高齢者虐待防止法案要綱の要旨■
 公明党のワーキングチームがまとめた高齢者虐待防止法案要綱の要旨は次の通り。
【第一 総則】
<一、目的> 国などの責務を明らかにし、虐待防止および虐待を受けた高齢者の保護措置を定め、高齢者の権利擁護に資すること。
<二、定義> (1)<略>(2)「高齢者虐待」とは、次に掲げる行為をいう。1.身体に外傷が生じ、または生じる恐れのある暴行 2.看護のネグレクト 3.著しい心理的外傷を与える行為 4.性的嫌がらせ 5.財産を侵害する行為
<三、国および都道府県の責務> 関係機関や民間団体間の連携協力体制の整備、虐待防止に携わる人材確保の措置を講ずるよう努めなければならない。
<四、国民の責務> 国または地方公共団体の施策に協力するよう努めなければならない。
<五、広報・啓発> <略>
【第二 早期発見】 <略>
【第三 家族等による防止措置】
<一、通告および申告> (1)虐待を受けた高齢者を発見した者は、速やかに、市町村に通告するよう努めなければならない。(2)虐待を受けた高齢者は、市町村に申告することができる。(3)刑法の規定その他守秘義務の規定は、通告を妨げるものと解釈してはならない。
<二、通告または申告を受けた場合の措置> 市町村は、速やかに事実確認のための措置を講ずるものとする。
<三、連続体制の整備> <略>
<四、保護のための措置> 市町村は、次の措置を講ずるものとする。(1)高齢者および虐待を行う者に、相談、指導、助言を行うこと。(2)居宅介護の措置または老人ホーム入所などの措置を採ること。(3)成年後見開始などの審判の申し立てを行うこと。
<五、高齢者を養護する者などに対する援助> <略>
【第四 施設職員等による防止措置】
<一、事業者などが講ずる措置> 施設の設置者は、苦情処理体制の整備の措置を講ずること。
<二、通告および申告> <第三の一と同じ>
<三、都道府県の監督権限の行使> 事実確認の措置を講じた上、監督権限を適切に行使するものとする。


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