シルバー新報 1月21日
高齢者虐待防止で公明党が法案要綱
発見者に通告の努力義務
    



 公明党はこのほど、五日、高齢者虐待防止対策として一年前から党内で議論を続けてきた「虐待防止法(仮称)案」の要綱をまとめた。虐待の早期発見・対応と防止のために実効性ある仕組みを構築するため、介護サービス従業者など虐待を発見した者に対してすみやかに市町村に通告する努力義務を課すほか、通告を受けた市町村が虐待を受けた高齢者の保護措置をとることなどを定めた内容だ。在宅の家族だけでなく、施設職員などによる虐待防止も視野に入れ、研修や苦情処理体制の整備を図る措置を事業者に求めている。自民党の合意を得た上で、議員立法とし今国会に提出を目指したい考えだ。

施設事業者 苦情処理体制の整備など義務化
 法案骨子は、公明党が党内で立ち上げたワーキングチーム(座長・古屋範子衆議院議員)が作成した。
 二○○○年五月に児童虐待防止法が、二○○一年四月にDV(ドメスティック・バイオレンス)防止法がそれぞれ成立しているが、高齢者虐待に関しては介護保険法で施設での身体拘束禁止が盛り込まれていた程度だ。特に、在宅での虐待は実態把握も遅れており、二○○三年十一月に医療経済研究機構が調査を行ったのが最初。一年間で虐待が発覚した高齢者は一九九一人、その一割が生命にかかわる危険な状態だったことや、虐待者の九割が家族によるものなど深刻な状況が明らかになった。
 厚労省では今回の制度改正の中でも地域包括支援センターなどで高齢者の権利擁護のための総合的なケアマネジメント体制を構築するとしているが、実効性のあるシステムを構築するためには公的整備が欠かせないとする声が強まっている。
 ワーキングチームが作成した法案要綱骨子では、高齢者虐待について(1)身体に外傷が生じ、又は生じる恐れのある暴行、(2)看護放棄(ネグレクト)、(3)心理的外傷を与える行為、(4)性的嫌がらせ、(5)財産を侵害する行為―と定義。
 その上で、虐待の早期発見・対応措置として、介護サービス従事者や保健・医療職などは虐待を発見しやすい立場にあることを自覚するとともに、虐待の疑いがあったり発見した場合には速やかに市町村に通告する努力義務を設けるとした。通告者が刑法等で定める守秘義務に抵触しないようにする措置も盛り込む。
 また、市町村については高齢者虐待の予防・早期発見・解決を行うため関係機関との連携体制を整備する義務があるとしたほか、事実確認の上虐待を受けた高齢者の入所措置をとったり、必要があれば成年後見制度の申し立てを行う。家族の負担軽減など虐待の再発防止に向けた諸施策を講じるのも役目と位置付けた。施設事業者に対して職員の研修や苦情処理体制の整備も義務付ける。
 法案骨子は現在のところワーキングチームの試案という形だが、取りまとめを行った古屋議員の事務所によると、二十一日から始まった通常国会に議員立法として提出することを目指しているという。


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