●高齢者虐待防止法が成立
発見者に通報義務
養護者支援も後押し 06年4月施行
超党派の議員立法による「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律案」が十一月一日に参議院本会議で可決、成立した。虐待を受けた高齢者を発見・保護するための規定を設け、介護にあたる家族などを支えるもので、施行日は二○○六年四月一日。また、施行三年後に見直すことと、障害者への虐待防止策を検討することも盛り込んだ(要綱は四面に)。
法案は虐待を定義した上で虐待を発見した人の通報義務、通報を受けた市町村の責務・権限、市町村による養護者(高齢者を養護する人で施設などの従事者を除く)への支援、施設・事業所内虐待への対応などを規定している。
定義では高齢者を六十五歳以上とし、虐待の種類を「身体的」「ネグレクト(放置)」「心理的」「性的」「経済的」に分類。ネグレクトには同居人による虐待を放置することも含んでいる。
虐待を発見した場合の通報先は市町村で、「高齢者の生命または身体に重大な危険が生じている場合」には発見者に通報義務が生じる。
通報を受けた市町村は老人介護支援センター、地域包括支援センター(包括センター)などの「高齢者虐待対応協力者」と対応を協議する。重大な危険がある時は市町村や包括センターの職員に立ち入り調査をさせる権限がある。立ち入り調査の際には、警察署長に応援を要請できる。
虐待を受けた高齢者を一時的に保護するため、市町村が老人福祉法の「やむを得ない事由による措置」などを適切に講じるよう求める規定や、その際の居室確保を求める規定も盛り込んだ。
養護者支援の規定も法案の特徴だ。市町村が高齢者・養護者からの相談に応じるだけでなく、養護者の負担軽減のために緊急ショートステイ確保などの措置を講じるよう求めている。
施設・事業所内虐待についても同様に虐待の種類や通報に関する規定があり、発見者は市町村に通報する。通報した職員はそれにより解雇など不利益な扱いを受けないこととされたが、虚偽や過失による通報の場合は除かれた。通報を受けた市町村は都道府県にその旨を報告し、都道府県はその状況を毎年度公表することとした。
また、国が虐待防止に関する調査研究をすること、国・地方公共団体が成年後見制度の利用を促すことを規定。そのほか、法施行三年後の見直しや障害者への虐待防止策を検討事項に盛り込んだ。
法案は先の通常国会で与党、民主党がそれぞれの案を一本化して提出される見込みだったが、双方が単独で提出。しかし、衆院解散によって廃案となり、選挙後の特別国会では馳浩氏(自民)、古屋範子氏(公明)、山井和則氏(民主)らが一本にとりまとめていた。
ところが、自民党は十月十八日の党の部会で内容に不備があるとして法案提出の見送りを決定。その後各党による協議の結果、法案は修正の上で二十六日の衆院厚生労働委員会に委員長提案されていた。
|