取り組んでいます

平成十七年五月十七日



○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。
 本日は、参考人の皆様には、朝早くから国会においでいただきまして御意見をお述べいただきまして、本当にありがとうございます。深く感謝申し上げます。

 私の方へも、この障害者自立支援法案につきまして、連日のような御意見、お電話、またメール等々、今ファクス、山のように届けられているところでございます。本当に多くの障害者の皆様が大変この法案の行方について心配をされているというところでございます。

 本日は、皆様の御意見を参考にさせていただきながら、その御意見を法案の仕組み、運用に反映させるべく、よりよい制度改革に取り組んでいきたいと考えておりますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げます。

 私は、今回の法案は、障害者別になっていた今までの福祉サービスが一元化をされたということ、また、財政基盤が強化をされるために法律に基づく義務的経費に転換をされたこと、就労支援の強化が盛り込まれたこと、評価されるべき点が多々あると考えております。

 まず最初に、森参考人にお伺いをしてまいりたいと思います。
 先ほどからも質疑になっておりますが、一昨年スタートをいたしました支援費制度、この制度を続けていきたいという御意見も一方でございます。私は、この支援費制度から今回の法案への変更、これは、何よりも制度の持続性というものを考えますと、避けられない改革であると考えております。一方では、障害者の皆様にとっては、サービス利用に伴う自己負担の面で大きな試練がもたらされているということでございます。そして、今回の改革の必要性については、サービスを受けられる立場の障害者の皆様、また多くの国民の皆様全体の理解を得ていかなければいけないと思います。また、そのための議論が必要であると考えております。

 そこで、障害者の地域生活を進める上で極めて重要な役割を果たしてきました支援費制度、これを新たな自立支援法案と変更する点について、どのようにお考えか、伺いたいと思います。

○森参考人 お答えさせていただきます。
 支援費制度そのものはどういうことかということをまずお話ししなきゃいけないんじゃないかと思います。

 昭和二十五年から身体障害者福祉法が施行されてきました。その間、いろいろと施策の改善等もありました。まず基本的に言えば、いわゆる就労というものから重度の人たちに目が向いてきたということもありますし、また身体障害者から知的障害者、そして今精神障害者へ。しかし、その中の基本は措置ということだったんです。措置というのは行政から一方的にやるものです。それが、今回なぜうまくいっているかというと、十五年度からの支援費制度になったからです。それは、いわゆる契約制度なんです。ですから、これはお互いに尊重し合う立場になっている。そこで、今度の障害者自立支援法案が、支援費制度の考え方、これを継がないならば死んでしまいます。私はそれでいいと思っておりません。

 それと同時に、私は、今回何点かお話をさせていただきましたけれども、この支援費制度を判断する基準、審査、これは、私は先ほど述べたつもりです。例えば、現行水準をどうするか、あるいは施設から地域生活ができるかできないか、そういう基準を私は出したつもりです。

 特に問題なのは、特に言っておきたいと思います、扶養義務者の問題です。これは御案内のとおり、昭和六十一年度に障害者基礎年金ができたときです。その裏腹といたしまして、入所施設の方々に費用徴収制度を導入したんです。そのときに問題になったのは何か、扶養義務者の問題でございます。本人が払えなければ扶養義務者から取る。それは何でかというと、障害者の方々が、ここにきょういらっしゃいますけれども、赤ん坊扱いするなということなんです、端的に言ってしまえば。これを今また戻すという形が出てきているわけです。

 だから、私たちは、これは全部いいと言っているわけじゃないんですよ。つまり、今回、一番キーは、歴史の針を戻すな、そういう観点からの尺度で見てもらいたい。わざわざ私は二の三でちょこちょこと述べていますが、実はこれが一番大きな論点でございます。

 この中には、実は、施設内のプライバシーの問題も入っているんです。そういうことからよく検討していただいて、障害者の方々がよかった、安心するという言葉を発せられるような御審議のやり方をやっていただきたい。我々はもう既に行政ともやってきています。まだ不満はありますけれども、それである面で反映できるものにさせていただきました。私が載せているこの解決すべき問題というのは、政治的な立場で、力で、どうか解決していただきたいという気持ちで載せているわけでございますので、その辺お含みのほど、よろしくお願いいたします。
 以上です。

    〔委員長退席、大村委員長代理着席〕

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 次に、笹川参考人にお伺いをいたします。
 先ほどの意見陳述の中にもございました、やはり移動介護サービスというのがいかに重要であるかというものだと思います。特に、先ほどおっしゃいましたように、人生の途中から視覚障害になられた方々については、やはり生活、移動というようなものも大変に困難であるということだと思います。

 その辺につきましても、先日も朝日新聞の記事にもございましたけれども、東大の助教授の福島氏が述べていらっしゃいました。自分も失明をして、その後聴覚も失って、見えない牢獄の中にたった一人でいるような感じがした。そこで、コミュニケーション支援、そういった生活支援というものはいかに重要であるかというようなことも新聞の中で述べられています。

 先ほども御要望等ありましたけれども、もう少し具体的に、移動介護サービスまた生活支援について具体的な御要望がありましたら、お伺いいたしたいと思います。

○笹川参考人 お答えいたします。
 先ほども申し上げましたけれども、視覚障害者の実態というのは、まさに高齢化の頂点にあるというふうに思います。しかも、その多くが高齢になってから失明した方々です。まず、こういった方々に歩行訓練をする、あるいは盲導犬の使用を進める、全く不可能でございます。いわゆる人的な介助がない限りは、そういう方々はそれぞれの地域で生きていくことはできません。

 そのために、これまではガイドヘルパー制度と申しておりましたけれども、昭和四十九年度からこの制度がスタートいたしまして、なかなか町に出られなかった視覚障害者の方々が大変積極的に社会参加できるようになりました。そういう意味で、私たちは本当に制度を大事にしてきたわけですけれども、その移動支援が、今回のこの法律の中では、先ほども申し上げました、地域生活支援事業という財源的にはいろいろと問題のあるところで位置づけをされている、この辺に対して私どもは大変不安を抱いております。

 また、日常生活の面で、先ほども介護保険の認定基準のことも申し上げましたけれども、障害者、特に視覚障害者が画一的に同じ動作ができるということは決してありません。全く個人差がある。例えば、ガスの点火ができる人できない人、いろいろです。そういうことから考えますと、やはり見えないということのハンディの大きさ、これは決して軽いものではない。どうも、口も何とかしゃべれる、あるいは移動も介助者がつけば移動ができるということで、視覚障害という障害を軽く見られる傾向がありますけれども、現実は決してそうではない。このことを十分御認識いただければありがたいというふうに思います。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 次に尾上参考人にお伺いしてまいります。
 先ほどの意見陳述の中にも、障害者基本法改正に代表される自立と社会参加という御意見をちょうだいいたしました。もう少しこの法案を広い意味でとらえますと、地域社会での人々の心のバリアフリー、共生ということで質問をさせていただきたいと思います。

 障害者保健福祉政策、障害者の皆様に対する地域社会全体の大きな理解と申しますか、そういうものが非常に大切であると考えておりますが、今回の法案も、障害のある方々が地域において胸を張って普通に生きられる、そういった自立と共生の町づくりに寄与する枠組みでありまして、地域で普通に暮らすための改革の第一歩であると考えております。

 そのために、一人一人の心のバリアフリー化が必要である、やはり地域社会の理解が重要であると思います。そして、男性も女性も、また老いも若きも、障害の有無にかかわらず、すべての人がこうした中で快適に過ごすことができる社会づくり。その意味で、この障害者自立支援法案、多くの国民の皆様の理解を得なければいけないと考えております。この地域社会の理解をどう深めていくか、その辺の御意見があれば伺いたいと思います。

○尾上参考人 私自身は、以前大阪に住んで活動しておりましたときに、全国で一番最初にできました福祉のまちづくり条例の制定なども進めてまいった立場なんですけれども、地域で当たり前に暮らす、そういう社会をぜひとも心より望むものなんですね。

 その点から考えたときに、やはり、先ほどからたびたび話題になっております、移動介護といいますか、社会参加をどう確保していくのか。つまり、地域で暮らすといったときに、最低限のぎりぎりの、いわば生存にかかわる介護だけを得て、あとはもう家の中に閉じこもっている。それでは全然地域の中での理解、共生というのが広がらないわけですね。その意味で、いろいろな分野に当たり前に社会参加ができるということが極めて重要なのではないか。

 その点から、一つは先ほどの移動介護、特に私、大阪市や大阪府というのは国の制度に先駆けて移動介護、特に知的障害者の移動介護を制度化した町でございます。それはどういうことかというと、まさに福祉のまちづくり条例ができた。では、車いすにとってのバリアフリー設備ということで駅のエレベーターが進むとするならば、知的障害者の移動支援といいますか社会参加支援は何かということで、移動介護、ガイドヘルプが制度化された。まさに、そういう共生の町づくりということで移動介護ができたということを御理解いただければということが一点。そして、そのときに、特に知的障害者の移動介護にとって、先ほどから申し上げておりますとおり、単に外出のときの付き添いではなくて、一人一人のコミュニケーションや見守りまで含めた支援だということでございます。

 地域の理解ということで非常に危惧をしておるということで、ペーパーを出して、ちょっと説明をしなかった部分がございます。時間の関係ではしょっていきますけれども、資料の八ページ、九ページです。これはある東北の地方の町でございます。これから移動介護は地域でという話になっているんですが、実は、今現在個別給付になっている支援費の移動介護ですらこういう制限が地域ではありますよということで、九ページなんですけれども、知的障害で月二十四時間の移動介護を受けておられる方、支給決定を受けているんですが、ところが、小さな町ですから、親が元気じゃないか、なぜ親ができないのかというふうな形で、御本人に支給決定されている権利のものすら制限をしておったり、その受給者証の下には、研修等の社会的な事由以外のときに使う場合は御連絡ください、つまり、自由に使ってはいけませんよというふうなことが鉛筆書きになっているんですね。今は支援費だから鉛筆書きですけれども、これが地域生活支援事業になったら、鉛筆書きではなくて要綱の中に書かれてしまうのではないか。

 つまり、地域の暮らしといったときに、いろいろな人と、社会と交わりながら暮らしていく、そのことが社会の理解、皆さんの理解を得ていくことの一番の大きなかなめだ、その点から移動介護の重要性をぜひ御理解いただきたいなと思っております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。大切な視点であると感じました。

 次に、松友参考人にお伺いをしてまいります。
 我が党にもいろいろと昨年から、介護保険法の改正等につきましても御意見を承ってまいりましたけれども、介護保険法改正関連法案が可決をされまして、今回の法案には、被保険者、受給者の範囲の拡大について附帯決議が盛り込まれております。先ほどもございましたように、事故や病気で介護が必要な障害を抱える可能性は、年齢を問わず、だれでも、あすにはそうなるかもしれない。また、従来からの法体系の谷間に置かれている障害の方々の存在を考えますと、やはり、より包括的な、また普遍的な制度への転換というものが求められるのではないかと思いますが、松友参考人は先ほど意見陳述の中にも述べられておりましたけれども、普遍化について、その理念についてお話をいただきたいと思います。

○松友参考人 御指摘のとおりでございまして、私は、今は知的障害の親の会におりますが、以前はてんかんという障害のてんかん協会にいまして、いろいろな谷間の経験をしてまいりました。人間が体において、あるいはいろいろな行動上において障害を受けることが、制度でもって分断される、障害種別で分断する、年齢で分断するというのは、これは行政上のある種差別行為だと思います。早急に、その人のニーズにきちんと対応する、そういうことになされなくてはいけないわけであって、そういう意味では、国民の理解、先ほど御指摘のあったことも含めて、早急に、どのような年齢、どのような障害、どのような形だろうとも対応できる方向に持っていく。そういう意味で、今までのパッチワーク的な対応を、一気にもっと本質的なところで総合化してほしい。

 特に私たちが介護保険問題の中で申し上げているのは、医療と比較すると、医療の場合には保険証というものを持っていくと、阿部先生のような小児科にかかっていても、精神科にかかっても、産婦人科にかかっても、具体的なケアというか具体的な支援というか、それは個別的に徹底的になされるわけですが、その財源論、制度論で一本化されて、総合的に強力にサポートするわけですね。そういう意味では、福祉はなぜこのように分断し細目化されているか、ここにやはり根本的なメスを入れていただきたいという思いであります。
 以上です。ありがとうございました。

○古屋(範)委員 続けて松友参考人にお伺いいたします。
 障害者の人権の確保、擁護ということにつきまして、最後、御意見をいただきたいと思います。

○松友参考人 今、国連の方で、障害者の権利条約についての特別委員会の議論がなされております。私も二度ほど傍聴させていただきました。

 御存じのように、言うなれば戦後処理としてつくられた国連でありますが、その第二次世界大戦の中で最大の大きな問題、悲劇の一つは、いわゆる障害者の計画的抹殺であったわけであります。これは日本ではありません、ドイツでありますが。そういう歴史を踏まえながら、世界的にやはり障害のある人がいかに虐待を受けるか、差別を受けているか、そこからどのように救済するかというのが世界的な課題でありまして、これは全く我が国の日本においても、さらには現実においても例外ではない。

 特に、知的障害の場合あるいは精神障害の場合は、御本人が主張が非常にしづらいということもありまして、施設において、学校において、職場において、残念なことには家庭においても、さまざまな虐待や差別事犯が続いているわけであります。これはやはり、心の問題というか、気合いの入れ方だけではなくて、法的な体制も含めてそれを防いでいく、そして権利をきちんと守り、回復していくという姿勢というか対応をお願いしたいということで、今勉強会等も開かれておりますので、ぜひ法制化についてよろしくお願いしたいと思っております。
 ありがとうございます。

○古屋(範)委員 時間でございますので、本日の参考人の皆様の御意見をしっかり踏まえまして、さらに法案の審議をしてまいりたいと思います。
 ありがとうございました。

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