第189国会 厚生労働委員会 27号

平成二十七年七月一日

○古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 きょうは、MERS対策を中心に質問してまいります。

 まず、質問に入ります前に、昨日閣議決定をされました経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太に関しまして一問お聞きをしてまいりたいと思います。これは副題に、「経済再生なくして財政健全化なし」ということが掲げられました。

 その中で、社会保障におきましては、「安倍内閣のこれまで三年間の経済再生や改革の成果と合わせ、社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(一・五兆円程度)となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を二〇一八年度まで継続していくことを目安とし、効率化、予防等や制度改革に取り組む。この点も含め、二〇二〇年度に向けて、社会保障関係費の伸びを、高齢化による増加分と消費税率引上げとあわせ行う充実等に相当する水準におさめることを目指す。」ということが盛り込まれました。

 私も、ここに関しましては、党内における議論のときに、三年間で一・五兆円と、キャップをはめるというのはすべきではないということを申し上げ、やっと、この「目安とし」という言葉が入ったところでございます。

 社会保障制度を健全に運営、維持していくために、経済成長に伴う物価また賃金の上昇、介護分野でやはり報酬ということも、介護人材を確保するためにも、その賃金というものも考えていかなければならない。技術革新への対応、障害者関係費等の、高齢化以外の伸びに相当する分の確保が不可欠でございます。制度改正は、国民に直接大きな影響を与えるために、十分理解を得られるよう丁寧に進めていかなければならないと考えております。

 塩崎大臣、この骨太方針、そして、これに基づいて今後行われていく概算要求基準の策定につきまして御見解をお伺いしたいと思います。

○塩崎国務大臣 今先生お話がございました骨太の方針二〇一五を決めるに当たって、諮問会議でも、私も二度ほど出向いて議論をさせていただきました。

 これは、やはり、機械的に財政再建のために社会保障を切っていくというようなことは今回はしないということがコンセンサスであったと思っておりますし、骨太の方針の中にもそのことは明記をされているところでございます。

 今お読みをいただいたところが、いろいろ「目安」とか、あるいは「経済・物価動向等を踏まえ、」ということが、今先生御指摘になった賃金の問題であるとか、そういうようなことで社会保障の自由度をどれだけ経済成長の中で確保していくかということがとても大事なことだということを認識しながら、しかし一方で、財政再建についても達成はしていかなきゃいけないということで、社会保障の持続性を確保しながら財政の健全化にも資するようにしていくためにどうするかという中で、今回の表現が最終的に骨太の方針に取り込まれたというふうに思っております。

 したがって、社会保障・税の一体改革を確実に進め、経済再生とそれから財政健全化、そして社会保障制度の持続性を確保していくということを実現するために、連立方程式としてこれを解いていこうというのが今回の骨太の方針だというふうに思います。

 今後、概算要求などでの私どもの姿勢としては、やはり、制度の重点化、効率化はもちろんやっていきますが、予防とか重症化予防とか健康づくりとか、そういうような形で取り組まなきゃいけない新たな課題もたくさんあって、国民の安心を支える社会保障について必要な予算がしっかりと確保できるように、概算要求そしてまた年末の予算獲得に向けて頑張らなきゃいけないなというふうに思っているところでございます。

○古屋(範)委員 これまで、生活保護の適正化ですとか薬価の切り下げ、また介護報酬の引き下げなど、厳しい改革を行ってまいりました。財政健全化とそれから社会保障の充実、これを両方進めていく非常に難しいかじ取りが迫られているところでございますが、ぜひとも大臣には、国民が安心できるような社会保障制度の拡充にお取り組みをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、MERS対策の質問に入ってまいります。

 今、韓国で深刻な感染が広がっております中東呼吸器症候群、MERS対策でございますが、四十日間たちまして、感染確認が減少傾向にあるというものの、六月二十八日現在で死者は三十二人というふうに聞いております。

 先日、NHKの「クローズアップ現代」で、詳しく感染者のフォローをしておりました。

 まず、六十八歳の男性が中東から帰国をし、そして一週間後に発熱をする。そして、地元の平澤市の病院に行くんだけれども、中東呼吸器症候群、MERSだとは確認をされなかった、中東の滞在を確認しなかった。三日間入院をして、ここでかなりの患者が感染をし、そしてさらに、韓国政府は、MERS患者が出たということを五月二十日に発表したにもかかわらず、どこの病院で発生したかは発表しなかった。

 そして、この最初の男性から感染をした三十五歳の男性が次の病院に転院をする。そのときも、中東の滞在歴がない、しかし、第一番目の感染者と同じ病院にいたということも、どこの病院で発生したかが発表されておりませんのでわからなかったということで、保健所に確認したけれども、特別な感染は発生をしていないということだったそうであります。

 そしてまた、さらにソウルの病院に、バスに乗り、また救急車に乗りかえということで転院をしていったということで、大きくはこの二人の患者から相当な人数の感染が広がっていったということで、最終的にサムスンソウル病院に行くわけなんですが、これが確認をできず救急病室に運ばれ、さらに多くの患者に感染をしていったというわけでありまして、この二番目の三十五歳の方から八十人以上の感染が広がったということで、やっと六月七日になって病院名を発表したということで、この期間、非常に長い期間がたってしまったということだそうであります。

 このMERSに対しまして、WHOが六月十七日に、公衆衛生上の緊急事態には該当はしていないということを発表しておりますけれども、警戒を促している。この韓国での感染症の原因、韓国政府の初期対応のおくれなど、また、韓国特有のさまざまな習慣というものをWHOとしても感染拡大の原因として指摘をしているところでございます。

 この韓国でのMERS感染の現状、そして原因、そういうものについての認識をお伺いしたいと思います。

○新村政府参考人 お答えいたします。

 韓国におけるMERS感染の現状でございますが、六月三十日現在で確定患者が百八十二名となっております。このうち、これまで死者は三十三名、退院者は九十五名でございますが、新たな集団感染の事例はこのところ出ていないと聞いております。

 韓国におけるMERS感染の拡大の経過につきましては、今詳しくお話がございましたとおりでございますが、要約して言いますと、中東から帰国した一名の男性がMERSと診断されるまでに九日間を要した、そして、それまでの間に複数の医療機関を受診した結果、多数の方に二次感染したということが感染拡大の背景にあったと承知しております。

 さらに、WHOが公表した報告書によりますと、国内発生が予期せぬものであり、多くの医師にとってふなれであったということ、それから、救急治療室に患者を過剰に入室させるということや同一病室を共有するといったような、医療機関内での不十分な感染防止対策があったということ、また、複数の病院を受診するいわゆるドクターショッピング、また、多くの友人や家族が見舞いに来るといった韓国特有の習慣もあったということなどが指摘されているところでございます。

○古屋(範)委員 とりもなおさず、韓国は隣国でございまして、そこに非常に近い壱岐、対馬、離島などは大きな危機感を持っているということも伺っております。

 水際対策をしっかり徹底をしてほしいというふうに思うんですが、潜伏期間がやはり二日から十四日あると、当然、この間に検疫をすり抜ける可能性というのは否定はできないというふうに思います。

 この水際対策、封じ込めの対策の現状、そして国内で感染者が万が一見つかった場合の初期対応、これについてお伺いをしたいと思います。

○新村政府参考人 お話がございましたとおり、MERSの対応におきましては、まず、この感染症が国内に入り込むのをできる限り防止するということが重要と考えております。

 このため、韓国での感染が明らかになった直後の六月四日から、中東地域に加えまして、韓国からの入国者に対する検疫体制を強化しております。

 具体的には、検疫所におきましてサーモグラフィーによる体温測定のほか、機内アナウンス、ポスターの掲示、検疫官による呼びかけ、リーフレットの配布を行いまして、発熱等の症状やMERSを疑われる患者との接触歴の自己申告を求めております。そして、接触歴がある場合には、症状があれば直ちに検体検査や医療機関への搬送を行う、また、症状がない場合も健康監視を行うといった対策を行っております。

 一方で、万が一、国内で感染が疑われる者が見つかった場合につきましても、医師または本人から保健所へ連絡が入り、接触歴、症状などから疑似症の患者となれば、速やかに感染症指定医療機関に搬送され、治療が行われるということになっております。

 そして、その後、地方衛生研究所でMERSの検査を行いますが、その検査結果が陽性となった場合には速やかに接触者の調査を行うこととなります。そして、接触状況に応じまして、入院措置、外出自粛要請、あるいは健康観察等を実施いたしまして、感染の拡大を防ぐための対応を行うということとしております。

○古屋(範)委員 万が一、感染者が発見をされた場合には、ぜひ初動態勢に万全を期していただきたいというふうに思います。

 六月九日に厚生労働省が専門家会議を開いていらっしゃいます。ここで、患者発生時の対応方針を決めていらっしゃいます。

 MERS患者の入院医療体制につきましては、感染拡大を防ぐための原則として、患者がいる都道府県で医療を完結するようにする、また、患者の受け入れに当たっては陰圧制御可能な病室が望ましい、これが困難な場合には換気が良好な個室も可能ということになっております。

 MERSコロナウイルス感染症は、感染症法を改正して、第二類感染症に分類をされております。法律上は、第二種感染症指定医療機関でも入院をすることができるようにはなっております。

 仮に、MERS感染者が陰圧制御可能な病室のない医療機関を受診したら、ウイルスで汚染された空気が院内に循環をするリスクというのが第一種よりも高くなるのではないかというふうに思います。第二種の感染症指定医療機関というのは、感染症患者だけでなくて、高齢者とか、糖尿病ですとかあるいはがんなど免疫力の低下した患者も入院をしているわけで、法律上問題がないにしても、やはりこれはなるべく避けるべきではないかというふうに思います。

 このような院内感染を防ぐ根本的な手だて、陰圧制御可能な病室を備えた指定医療機関の整備というのが喫緊であるというふうに思います。

 また、エボラ出血熱が騒がれたときにも、スタッフの不足から、患者を受け入れる指定医療機関が整備できない自治体が相次いだということを考えますと、感染症の専門家の養成が急がれているというふうに思います。

 MERS患者の入院医療体制、また早急な専門家の養成についてお伺いをいたします。

○新村政府参考人 感染症法上、二類感染症でございますMERS患者の入院医療につきましては、御指摘がありましたとおり、特定、第一種及び第二種までの感染症指定医療機関で受け入れることができるようになっております。

 今般の対応につきましては、韓国におけるMERSの感染拡大を受けまして、速やかに入院医療の提供ができるよう、専門家会議を開催し、御意見もいただいております。その御意見も踏まえまして、MERSに対応するためには陰圧設備の整った医療機関を確保する必要があると考えております。そして、都道府県単位でそれを確保するよう、既に要請しているところでございます。

 このような医療機関は、陰圧設備の整った医療機関ですが、現在、全国で三百十カ所、約千五百床ございますので、当面必要な入院医療体制は確保されていると考えております。

 また、感染症の専門家の養成につきましてですが、国立国際医療研究センターにおきまして、感染症の診療に携わる医師等に対しましてMERSを含む輸入感染症に関する研修会を毎年実施しております。また、今年度からは、同センター及び国立感染症研究所と連携いたしまして、感染症の危機管理に対応できる専門家を養成するプログラムを新たに立ち上げるといったような取り組みも行っているところでございます。

 今後とも、国内でMERS患者が発生した場合の医療体制の確保のため、万全を期してまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 最後に、国民への意識の啓発、そして正確な情報発信についてお伺いをしたいと思います。

 昨年、七十年ぶりでデング熱の国内感染が確認をされました。また、隣国ではこのようにMERSの感染が拡大をしているということもあり、全国に十七万以上の医療機関があって、感染症指定医療機関というのはその中のごく一部にすぎません。医療機関ごとにMERSや感染症に関する意識もそれぞれであるというふうに思います。MERSも風邪に似た症状ということから、個々の医療機関が徹底した意識を持っていくことが重要なのではないかというふうに思います。

 まず、国、地方自治体など、医療機関に向けた徹底的な啓発活動を行うことが必要だと思います。

 あともう一つは、私たち自身が過度に恐れたり、あるいはパニックに陥ったりということはいけない。しかしながら、正確な情報と知識を持って、手洗い、うがいなどで予防していく、その冷静な対応が必要なのだろう。もしもと思ったときには、急に医療機関に飛び込んでしまうのではなく、まずは保健所に相談するとか、そういう意識を持っていくことが重要なのではないかと思います。

 この点、国民への意識啓発、情報発信についてお伺いをしたいと思います。

○永岡副大臣 古屋先生にお答えいたします。

 先生御指摘のとおり、MERSというのは、せきなどの飛沫感染が知られておりますけれども、インフルエンザに比べますと感染力というのは相対的に弱いということ、また、発症するまでは感染力がないということになっております。そういうMERSの特性を正しく理解した上で冷静に対応するということが、国民にとっても大変重要であるというふうに認識をしております。

 国民の皆様方に対しましては、MERSの特性に加えまして、もともとの感染源であるラクダですとか、あとは感染者との接触、それから感染が確認されました医療施設への訪問などは極力避けていただくことというのがまずは重要になってくると思います。また、中東ですとか韓国に行って、そして帰国された方、その後に発熱やせきなどの症状が出た場合には、万が一のことを疑いまして、お医者さんに行くのではなく、まずは保健所に連絡をいただくことが大事であると思っております。

 厚生労働省のホームページでございますとか、また塩崎大臣からの呼びかけなどを通じまして、これは強くお願いをしているところでございます。

 また、日本に入国する際の検疫での対応というのも強化をしておりますけれども、MERSに感染した人が入国をして、国内で発症することも想定しております。

 このために、医療の現場に対しましては、まず、マスクですとか、あとは手袋の着用、手洗いなどを初めといたしました院内感染対策を徹底すること、それから、発熱やせきなどの症状を呈する患者さんにつきましては、万が一を疑いまして、渡航歴や接触歴を確認すること、それから、MERSが疑われる場合には速やかに保健所に連絡をいたしまして、感染症の指定医療機関などでの受診につなげることにつきまして、日本医師会ですとか都道府県を通じまして周知徹底を図っているところでございます。

 以上です。

○古屋(範)委員 以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

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