第189回国会 予算委員会 16号

平成二十七年三月十二日

○古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 本日は、認知症対策についてお伺いをしてまいります。十分ですので、早速質問に入らせていただきます。

 パネルにございますように、この二月、二〇一三年度の高齢者虐待件数が発表になりました。前年度よりも五百九十五件多い一万五千九百五十二件でございます。私は当選当初、高齢者虐待防止法を手がけ、二〇〇六年から、それに基づき行われている調査、二〇一三年度は調査開始以来三番目に多い数字となっております。

 この中で見逃せないのが、虐待を受けている高齢者、この多くがやはり認知症を抱えているという事実であります。長い間真面目に仕事をして、あるいは家庭のために、地域のために働いてきて、高齢になり認知症となって、その尊厳を傷つけられる、このようなことはあってはならない、このように思います。

 昨年五月なのですが、私は安倍総理に、認知症対策の国家戦略をつくるべきだということを申し上げました。世界の中で最先端の高齢社会を走る国として、認知症対策を国家戦略とすべきということを申し上げました。そのときは総理は、平成二十五年度からオレンジプランがあるので、それに基づきやっていくというような趣旨の御答弁でございました。

 しかし、この一月、総理は、認知症対策を国家課題として位置づけた認知症施策総合戦略というものを発表になりました。総理みずからリーダーシップをとって推進をしていく。日本としても、国家戦略として認知症対策に総合的に取り組む新オレンジプランというものが策定をされたわけでございます。

 初めに、この認知症国家戦略、総合戦略によりまして、いつまで、また何を目指していかれるのか。目的と意義について、そして、世界じゅうが注目をしているこの総合戦略でございます、改めて、世界の模範となる国家戦略について、総理にお伺いを申し上げます。

○安倍内閣総理大臣 認知症については、もはや誰もがかかわる可能性のある身近な病気と言ってもいいんだろう。本人である場合、配偶者である場合、あるいは両親、かなりの確率でかかわることになるわけでありまして、最も速いスピードで高齢化が進んでいく我が国は、社会全体で世界のモデルとなる取り組みを進めていく必要があると思っております。

 そこで、本年一月に新たに策定した新オレンジプラン、総合戦略では、消費税増収分を活用しまして、初期集中支援チームを平成三十年度までに全市町村に設置するなど、できる限り早い段階から認知症の方を支援するとともに、根本治療薬、出現が本当に期待されているわけでありますが、根本治療薬について平成三十二年ごろまでの治験開始を目指すなど、予防や治療のための研究開発を推進し、認知症サポーターを平成二十九年度までに八百万人養成するなど、認知症の方や高齢者に優しい地域づくりを進めることとしております。

 こうした取り組みを通じまして、団塊の世代が七十五歳に達する平成三十七年を目指しまして、認知症の方ができる限り住みなれた地域で暮らすことができるよう、本人や家族の方々の意見を十分に聞きながら、政府一丸となって環境を整えてまいりたいと考えております。

○古屋(範)委員 今総理おっしゃいましたように、この新オレンジプランの基本的な考え方、それは、認知症の方々が尊重され、できる限り住みなれた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることのできる社会の実現を目指すというものでございます。十二省庁横断、そして、七つの柱によってつくられております。

 しかし、まだまだ認知症には偏見や誤解が多いというふうに思います。総理おっしゃいましたように、認知症サポーターの育成、あるいは認知症の初期集中支援チームの配置、また認知症カフェの全国展開など、これは着実に進めていく必要があると思います。私たち公明党も、全国約三千名の議員で、認知症対策を含め、地域包括ケアシステムの確立に今全力を挙げているところでございます。

 例えば、山間僻地、これは岩手県の一関市でございますけれども、旧藤沢町、この町長が医療と介護の連携という理念を掲げまして、地元にある国保藤沢病院、ここが核となって、医療、介護、また一人の人をどこまででも支える、途中で、入院からその先放り出してしまう、このことがないような、いわば地域包括ケアを既につくっているような地域もございます。

 また、都会、世田谷には、こころのホームクリニック世田谷というものがありまして、立ち上げて一年三カ月なんですが、既に百四十七名の方々が、ここは精神科医が訪問診療、アウトリーチをしてくれる医療機関なんですけれども、百四十七名の方がいらして、うち認知症が約六割であるということでございます。認知症の在宅へのニーズが非常に多いということがうかがい取れます。

 不安とか抑うつ、また妄想など心理・行動症状の出現また悪化をさせない、そのために、まだまだ足りない訪問型アウトリーチの医療サービス、この普及をさせるためにも、ここにインセンティブ、政策誘導をつけていくということも必要なのではないか、そのように思います。

 認知症を抱えた方々が、住みなれた地域で、また、家族もともに住み続けられるような地域包括ケアシステム、入院または入所を前提としない地域包括ケアモデルを実現すべきと考えます。厚労大臣のお考えをお伺いいたします。

○塩崎国務大臣 地域包括ケアモデルを実現するために、今回まとめました新オレンジプランでは、認知症の方に早期に診断を受けていただいて、医療、介護等による支援の体制を整える、そして、住みなれた地域で暮らしていただく。

 それから、妄想、うつ、徘回等の行動・心理症状いわゆるBPSDや身体合併症が見られた場合の、医療機関や介護施設で必要な治療やリハビリを受けられるということ、そしてまた、医療機関や介護施設でも対応が固定化されないように、退院、退所後もそのときの容体に最もふさわしい場所で適切なサービスが提供される、いわゆる循環型の仕組みを展開していこうということでございます。

 認知症初期集中支援チームを平成三十年度までに全市町村に設置するとか、あるいは、今のBPSDには原則薬物を使わない対応を第一選択とすることを普及するとともに、身体合併症に対応する一般病院での認知症への対応力を高める、あるいは、退院支援、地域連携のクリティカルパスの作成によって、円滑な退院、退所や在宅復帰を支援することなど、幅広くやっていこうと思っております。

○古屋(範)委員 最後の質問になります。

 こうした総合戦略、せっかくこれを掲げていただきましたので、その効果を見きわめるために、当事者また介護者の視点を入れた評価の仕組みを構築する必要があると思います。

 また、あわせまして、アメリカでは、認知症対策のための国家アルツハイマープロジェクト法という法律が二〇一一年につくられております。我が国においても、こうした府省を横断した認知症のための基本法をつくるべきではないかと考えます。いかがでございましょうか。

○安倍内閣総理大臣 新たな戦略については、認知症の方を支える幅広い方策を着実に今推進していくために、具体的な数値目標を定めたものを中心に、定期的に進捗状況を把握していく。そして、それとともに、認知症や家族の方々の意見をよく伺いながら、随時点検を行い、それらの結果を踏まえて、PDCAサイクルに沿って不断の見直しを行っていくこととしております。

 そして、基本法制定についてでありますが、基本法の制定という御提案ではございますが、まずは、新たな戦略に基づきまして、認知症の方を社会全体で支えるための施策を総動員して、そして政府一丸となって推進をしていきたいと思います。

 いずれにいたしましても、認知症の方を単に支えられる側と考えるだけではなくて、先般も認知症の方々とお話をさせていただきました。もうずっと仕事もちゃんとやっておられる方々もおられます。そういう方々が、やはり尊厳を持って、生きがいを持って生きられる社会をつくっていくことも大切でしょうし、偏見をなくしていくということも大切だと思います。

 御本人に寄り添いながら、認知症とともに、よりよく生きていただけるように、政府と関係者が手を携えて環境整備を行ってまいります。これは、安倍内閣の目指す何度でもチャレンジできる社会であり、そして、認知症や高齢者の方に優しい地域づくりを通じて地域や社会を再生していきたいと考えております。

○古屋(範)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

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